Month: 12月 2020

センサーのログをNextcloudのSensorloggerで記録してみる

この記事は 日本Androidの会秋葉原支部ロボット部 Advent Calendar 2020 の20日分の記事です.
日本Androidの会秋葉原支部ロボット部は現在月に一回勉強会を行い様々な話題で盛り上がっています.
次の勉強会はちょうど今日(20日)です.興味のある方は覗いてみてください.

センサーのログなどをアップロードするのに色々なwebサービスを使ったり,Googleスプレッドシートに書いたりしています.
便利なんだけどロックインになるのは嫌だなって思ったりします.

Nextcloudというファイル共有サービス+αなOSSがあります.アプリケーションを追加して機能を増やすことが出来ます.例えばテレビ電話や,オンラインオフィスとか,マップサービスとか様々なアプリがあります.
これを個人的に立てて便利に使っています

この中のアプリを眺めているとSensorloggerというセンサーのログを保存できそうなものを見つけたので試してみました.

まずNextcloudですが,とりあえず試すだけならsnapを利用するのがお手軽です.Raspberry Pi + Raspberry Pi OSなどでもOKです.

Debian sid amd64/Ubuntu 20.04 LTS/Raspberry Pi OS armhfでは以下の手順でOKでした.

$ sudo apt update && sudo apt upgrade   (1)
$ sudo apt install snapd    (2)
$ sudo snap install nextcloud   (3)
  1. システムのパッケージを最新にする
  2. snapを使えるように snapd パッケージを導入
  3. snapでnextcloudを導入

10分位待つと導入が終わります.ウェブブラウザにIPアドレスを入力するとセットアップ画面が表示されるので管理者ID/PASSWORDを設定します.

これでとりあえず使えるようになったと思います.

この後Sensorloggerを導入します.
管理者権限のアカウントでNextcloudの右上のメニューから「アプリ」を開きます.

20201219 20:12:45 2014278

次に上の検索バーに「Sensorlogger」とかの文字列で検索して「有効」ボタンを押して導入します.

20201219 20:12:42 2017785

Tip
Nextcloudのアプリケーションはコマンドラインから導入することも出来ます.
$ sudo -u www-data occ app:install sensorlogger #通常導入した場合
$ sudo /snap/bin/nextcloud.occ app:install sensorlogger で導入した場合

ここからは一般ユーザでOKです.

Nextcloudの上部から「Sensorlogger」のアイコンをクリックするとSensorloggerの画面が表示されます.

20201219 20:12:03 2021911

はじめはデータがないのでまっさらです.「Device」辺りでデバイスの登録をするのかな?と思いましたが出来ません.
「Read SensorLogger Wiki Devices」と書かれているのでWikiを参照してみます.

データを送ると自動的にデバイスが出来るようです.Simple, Complexの2種類のデータタイプがあるようです.Simpleは温度,湿度のようでとりあえずこれを試してみます.

以下の辺りから post.php を持ってきて使います.このscriptはダミーのランダムな温度と湿度データを作ってSensourloggerにデータを投げます.

何箇所か書き換えます.
* $url = ` を自分のNextcloudのURLに変更します.
* `$array = array("deviceId" ⇒
uuidgen コマンドなどで生成したUUIDに変更します.
* $username = をNextcloudの自分のユーザーに変更します.
* $token = に「設定」「セキュリティ」ページの「デバイスとセッション」の一番下の「新しいアプリパスワードを作成」で作成したトークンに修正します.

そしてphpとphp-curlが必要なので導入します.

Debian sid amd64/Ubuntu 20.04 LTS/Raspberry Pi OS armhfでの例
$ sudo apt install php-cli php-curl

この状態で post.php を実行して成功すると以下のようなメッセージが帰ってきます.

$ php ./post.php
{"success":true,"message":"Sensor Log successfully stored","data":null}

Sensorloggerのページの List を見るとエータがアップロードされているのが解ります :)

手動で実行するのは大変なのでcrontabにこんな感じで登録してみます.5分に一回データを送信します.

$ crontab -e (1)
$ crontab -l | grep post.php (2)
*/5 * * * *     php ~/tmp/post.php 2&>1 > ~/tmp/post.php.log
  1. crontabの編集
  2. crontabに登録されたか確認

同様にRaspberry Piの温度も送ってみます.温度の $temperature を以下のような感じで書き換えて,UUIDも書き換えるとOK.これもcrontabに登録します.

    $temperature = system( '/opt/vc/bin/vcgencmd measure_temp | awk -F "[=\']" \'{print $2 }\' | tr -d \'\n\'' );

しばらく動かしてからダッシュボードを設定するとこんな感じのチャートが表示できました.

20201219 20:12:13 2035392

密集してよくわからない部分はマウスドラッグで矩形選択するとその部分がズームされます.

20201219 22:12:30 2180945

という感じでとりあえず動きました.ドキュメントが未だ充実していな買ったり使い勝手も悪いですが最低限の機能はあるかなという感じです.
興味があったら試してみてください.
若しくはおすすめのアプリやサービスを教えてください.

PCでAndroid端末の画面転送と操作が出来るscrcpy

Debian sid amd64環境ではパッケージがあるので簡単です,armhf/amd64/i386環境ではsnap版が存在します.その他幾つかのLinuxディストリビューションではパッケージがあったり,WindowsやmacOSでも動作するようです.

手元ではDebian sid amd64で動作しました.(Raspberry Pi OS armhfにsnap版を入れた環境ではエラーが発生.内容は未だ未確認)

Debian sid amd64環境だと以下のような感じで導入できました.このときAndroid端末は「開発者向けオプション」が有効になっていて,「USBデバッグ」が有効になっている状態でUSB接続されている必要があります.

Debian sid amd64環境での導入例
$ sudo apt install adb scrcpy (1)
$ lsusb (2)
  :
Bus 002 Device 013: ID 05c6:9024 Qualcomm, Inc. SDM439-MTP _SN:472BF8D8
  :
$ echo 'SUBSYSTEM=="usb", ATTR{idVendor}=="05c6" ATTR{idProduct}=="9024", MODE="0660", GROUP="plugdev", SYMLINK+="android%n"' \
| sudo tee -a /etc/udev/rules.d/51-android.rules (3)
$ sudo udevadm control --reload (4)
$ adb devices (5)
* daemon not running; starting now at tcp:5037
* daemon started successfully
List of devices attached
976d6a56        device
  1. 必要パッケージの導入
  2. AndroidのVID/PIDを確認(ここでは 05c6:9024 )
  3. adbコマンドが利用できるようにAndroid端末をudev roureに登録
  4. udev ruleを反映する
  5. adbコマンドで認識出来るのを確認

この状態で,scrcpy を実行することでAndroidの画面転送が出来ました.普通に操作も出来ます.
スリープ状態のときは画面が真っ黒ですが,マウス右クリックで解除されます.

$ scrcpy
INFO: scrcpy 1.14 <https://github.com/Genymobile/scrcpy>
/usr/share/scrcpy/s...93 bytes in 0.008s)
[server] INFO: Device: TINNO C330 (Android 9)
INFO: OpenGL shaders: ENABLED
INFO: Created renderer: opengl
INFO: Renderer: opengl
INFO: OpenGL version: 3.0 Mesa 20.2.4
INFO: Trilinear filtering enabled
INFO: Initial texture: 720x1280

20201210 21:12:59 2112960.resized20201210 21:12:31 2113779.resized20201210 21:12:30 2115127.resized

導入も簡単だしこれは便利.しかしメイン端末ではPCにUSB接続するとすぐに充電しなくなってしまうので長時間は使えません.

adb のワイヤレス接続の設定をすると別の端末や充電器で充電しながら利用できそうなので試してみました.

対象のAndroid端末をPCにUSB接続した状態で tcpip コマンドでリモート接続できるようにします.

$ adb tcpip 5555
restarting in TCP mode port: 5555

この状態でPCからAndroid端末を取り外し,Wi-Fi接続のIPアドレスを確認します.

PCでadbコマンドでAndroid端末に接続します.

$ adb connect <ANDROID_IP>>:5555

この状態で scrcpy コマンドを実行すると画面が表示され操作できます.充電器などに接続した状態でも利用できます :)

scrcpy には幾つかオプションがあります.便利そうなものとしては最大解像度を指定する -m, --max-size value で解像度を下げて表示できます,
-n, --no-control で表示だけで操作できなくします.
-r, --record file で画面を録画します.
-w, --stay-awake でscrcpyを実行中Android画面をロック,消灯しません.
-S, --turn-screen-off Android端末のスクリーンを消したまま操作できます.

ショートカットでは
Ctrl + h, マウス中キー でホームボタン,
Ctrl + r でAndroid画面回転,
Ctrl + s でアプリケーション切り替え,
辺りが便利そうです,

Ctrl + c でクリップボードのコピーなのですが,一旦Android側でコピーした後に Ctrl + c でPCへのクリップボードコピーのようです,Ctrl + v の貼り付けもAndroid感での貼り付けで,PCからAndroidのクリップボード貼り付けは Ctrl + Shift + v でした.

詳細は scrcpy --help を参照してください.

これでElectronアプリでPCで動かしているアプリをスマホで……とも思ったのですが日本語入力などはちょっと面倒.もう少し様子見しようと思います.

Raspberry Pi の温度管理をソフトウェアで頑張る

この記事は日本Androidの会秋葉原支部ロボット部 Advent Calendar 2020 の12/07分の記事です.

内容は 日本Androidの会秋葉原支部ロボット部 第96回勉強会 で発表した内容を加筆修正したものです.

はじめに

Raspberry Pi という英国発の教育向けとして2012年に発売された安価なシングルボードコンピュータがあります.教育向けとして発売されましたが趣味にもよく使われています.OSは標準ではLinux(DebianベースのRaspberry Pi OS)が採用されています.

私はもっぱら省電力のLinuxマシンとして使うことが多いです.

トラブル

今夏空調のない部屋の自宅サーバの横でRaspberry Pi 3 model B + Raspberry Pi OS arm64(β)で計算をさせていたのですが,しばらく動かしていると固まるようになりました.

再起動すればしばらく動きますがしばらくするとやはり固まります.これをどうにか出来ないかと調べてみました.

ログの取得

まずはログを録ってみます.

crontabで1分毎に情報を記録
* * * * *       printf "`date +\%s`,`cat /sys/class/thermal/thermal_zone0/temp`,`echo "obase=2; ibase=16; \`vcgencmd get_throttled | cut -f2 -dx\`" | bc`,`vcgencmd measure_clock arm|cut -f2 -d=`\n" >> ~/.temp.log

内容はこんな感じです.(外気温度も録ればよかった)

UNIX Time
date +%s
SoC温度
/sys/class/thermal/thermal_zone0/temp
スロットリング周りのフラグ
vcgencmd get_throttled
arm周波数
vcgencmd measure_clock arm

ログがファイルに書かれる間にフリーズしてデータが失われるのを防ぐために /etc/fstab のマウントオプションに sync オプションも付けておきます.(再起動かremountで反映)

ログを取得している状態で負荷を掛けます.今回は /dev/urandom をcatすることで計算させました.今回のRaspberry Pi 3 model Bは4coreあるので4つ動かしています.

今回のテストで使った負荷(いつもはvanity address/vttとかとか)
$ cat /dev/urandom > /dev/null &
$ cat /dev/urandom > /dev/null &
$ cat /dev/urandom > /dev/null &
$ cat /dev/urandom > /dev/null &

熱が原因?

しばらく動かしてRaspberry Piが固まった後にログを確認してみます.
SoCの温度が85度を何度か記録した後に固まっているようです.
85度というのはRaspberry Pi OSでの標準のSoC制限温度のようです.この温度の5度前(標準では80度)からサーマルスロットリングが始まるようです.

サーマルスロットリングでクロックが下がって温度が下がれば問題無さそうだけど80度からクロックが下がっても85度を超えて固まってしまっているようです.
ベータ版のRaspberry Pi OS amd64を使っているせいかもしれないと思い,標準のRaspberry Pi OS armhf(32bit)版に変更して同様に試してみましたが同様の動きのようです.

正攻法としてはヒートシンク,ファンの増設や空調を入れるとよさそうですが,金欠なのでとりあえずソフトだけでどうにか出来ないかと試しました.

SoC制限温度を下げる

まずSoCの制限温度ですが,公式フォーラムで70度以下にしたほうがいいという書き込みを見かけました.逆に100度でも大丈夫という人も居るのですが安全側の70度にしてみます.

この設定は /boot/config.txt でパラメータを設定できます.以下は70度に設定たときの例です.この状態で再起動すると反映されます.

temp_limit=70

再起動後以下のコマンドで設定が反映されているか確認が出来ます.

$ vcgencmd get_config int | grep ^temp_limit=
temp_limit=70

この状態で負荷を掛けると70度を越えるくらいで固まりました.やはり制限温度を越えると固まってい舞うようです.

SoCの最大周波数を下げてみる

Raspberry Pi 3 model B のSoCは最大周波数1.2GHzです.これを下げてみます.

/boot/config.txtarm_freq= で設定できます.以下は800MHzに設定したときの例です.再起動で反映されます.

arm_freq=800

再起動後に設定が反映されているか確認します.

$ vcgencmd get_config int | grep ^arm_freq=
arm_freq=800

この状態で負荷を掛けるとやはり固まります.まあサーマルスロットリングが効いても固まるので仕方がない感じです.

SoCの最小周波数を下げてみる(これが効くのでは?)

次にSoC最小周波数を下げてみます.既定値は600MHzで,サーマルスロットリングでもここまで下がっているのでこれを更に下げると温度が下がりそうな気がします.

/boot/config.txtarm_freq_min= で設定できます.以下は400MHzに設定したときの例です.再起動で反映されます.

arm_freq_min=400

しかし再起動後に確認してみると600MHzより下には設定できないみたいで600MHzになってしまいます.

$ vcgencmd get_config int | grep ^arm_freq_min=
arm_freq_min=600

この状態で負荷を掛けるとやはり600Mhzまでしか下がらず固まります.

残念ながらRaspberry Pi のスロットリングでは無理そうです.

maxcpusでコアを制限してみる

Linuxのブートパラメータで maxcpus を指定することでコアを制限できます.Raspberry Pi の場合は /boot/cmdline.txt で設定できます.

設定後以下のコマンドで確認できます.

$ grep -o -E 'maxcpus=.{0,9} ' /proc/cmdline
maxcpus=1
$ grep ^processor /proc/cpuinfo | wc -l
1

これでCPU core1津で動作しています.しかし最大周波数を600MHzかつ1coreでも同様にフリーズしてしまいました.

cpufreqでクロック制御

IntelCPUのNotePCなどではcoufreqを使ってこのあたりの制御をするのですが,これでも600mHzより下には下げられないようで駄目でした.

LimitCPUで指定プロセスの制限を行う

LimitCPUは指定プロセスを監視し,CPU利用率や%で制限するプログラムです.Linux, MacOS, *BSDなどのUNIX-Likesystemで利用できます.
Raspberry Pi OSではcpulimitパッケージとしてパッケージングされており,コマンドもcoulimitです.

cpulimitの導入
$ sudo apt install cpulimit

cpulimitコマンドに制限したいプロセスIDやプロセス名と制限を指定することで動作します.

cat からはじまるプロセスを50%に制限
$ pgrep ^cat | xargs -n1 -I{} sh -c "cpulimit -p {} -l 50 -v &"

cpulimitで50%に制限してみたt頃温度が下がるのを確認できました.数日動かしても固まらなくなったようです.
定期的にSoCの温度を確認して制限を変更していくと良さそうでうs.

LimitCPUはCPUlimitの開発が止まった後のフォークですが,その後CPUlimitが新しく開発が始まっているようです.詳細は以下のページを参照してください.

cgroupでCPUリソース制限(未確認)

LimitCPUが効いたので恐らくcgroupでのCPUリソース制限でも大丈夫そうです.(未確認)

おわりに

現在は気温も下がり制限などしなくても問題ありません.でもきっと来夏にまた起こると思うのでそこでまた確認するつもりです.

しかし,今回の解決方法はCPUのリソースを制限して温度を下げて居るので計算量は減っています.空調を入れたりCPUファンを導入するのが正攻法になるのかなと思います.
CPUファンはサードパーティーから各種発売されているのでそれらを使うかDIYする感じになると思います.

そういえば最近Raspberry Pi OSの設定コマンドの raspi-config の中に Set behaviour of GPIO fan というメニューが出来たり,Raspberry Pi 4には公式のCPUファンが発売されているのでこれらを使うのが良さそうです.